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読書_世界の終わりの物語

2022.03.27 Sun

DIARY

2019年から2020年にかけて、mangekyoは京都のプロジェクトを進めていた。およそ1年にわたり、最低でも月に1度は京都へ行く生活は慌ただしくもあったが、仕事を終えた後に喫茶店や町中華、本屋や銭湯を巡りながらぶらぶらする時間はこの上ない幸せだった。

2020年に入ると間もなく、世界の雲行きが怪しくなりはじめた。プロジェクトは引渡し間近だった。街に人気がなくなり、不織布マスクを洗濯して繰り返し使った。今よりもずっと世の中に不安と緊張が漂っていたように思う。

延期しようか迷った末、今後しばらく京都に行けないかもしれないと思い、予定通り実行した竣工写真撮影の立ち合いが、このプロジェクト最後の出張だった。
無事撮影が終わり、観光客がほとんどいない静かな京都で名残りの散歩をした。立ち寄った本屋でタイトルに惹かれ1冊の本を手に取った。

伊丹空港から新千歳空港へ向かう夜の便。静かな機内。乗客は私を含め3人だけだった。離陸後、さっき買ったばかりの本を読みはじめた。

その物語の登場人物は皆、もうすぐ世界が終わることを知っていた。受け入れて、それぞれの生活を営み、誰も怯えてはいなかった。物語が終わる頃、即ち世界が終わる頃、私を乗せた飛行機は新千歳空港に着陸した。夜の暗い空の上で読んだ世界の終わりの物語は、束の間、得体の知れない疫病の恐怖が広がり始めた現実世界から、私を連れ出してくれた。映画館を出る時のような、静かに高揚した心持ちで飛行機を降りた。

2年経った今でも、忘れられない読書体験。
かといって、特別何かが起こったわけではないし、誰かに話すほどでもないけど、忘れてはいけない気がしている。


「銀河で一番静かな革命」

マヒトゥ・ザ・ピーポー / 幻冬社

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